45歳から目指す55歳セミリタイア もっぷるのブログ

セミリタイアを目指す過程と、その中で思ったことを書くブログです

高齢者と働くために考えたこと2

こんにちは!もっぷるです。

 

45歳からスタートして55歳でセミリタイア(遅めのFIRE)を目指しています。

 

先日、高齢者と働くことについてブログを書いたのを読み返してみて、自分が何を言いたかったのか少し整理ができたので続きを書いてみようと思います。

 

前のブログで、経験豊富な高齢者のパートさんたちが、人間関係を悪くしがちなこと、自分でこじらせて退職してしまうのは何故なのか悩んでいて、介護の勉強で習った高齢期のパーソナリティーの5類型のことを思い出して、どんなものだったかを調べてみて思ったことを書きました。

 

自分の中ではなんとなく答えが出たのですが、それを上手く文章にできなかったと感じていて、読んでくださる方に長文の割に何が言いたいのか分からない!と思わせてしまったかもしれませんので、数日経って読み返して少し整理が出来たので追記したいと思います。

 

私は以前「嫌われる勇気」という本を読んで、アドラー心理学を知りました。有名な本なので読まれた方も多いと思いますが、私にとっては、それまでの考え方とかなり違う内容で、たいへん影響を受けました。

 

承認欲求は持たなくて良い。他人に対しても承認欲求を満たさせてあげる必要はなくて、褒めてはいけない、叱ってもいけない。という感じで、そんなんでどうやって人と関われば良いのか、最初は意味がわかりませんでした。

 

また、怒りもトラウマも存在しない。怒りもトラウマも自分の都合のためにあえて持っているだけで、いつでも手放すことができるということも、ちょっとすぐには理解できなかったのですが、今は本当にそうだと思います。

 

私は相談を受ける時、その人が自分の考えを整理して自分の力で前へ進むためのきっかけを作りたいと考えています。私にほめられることを目的にしてほしくないし、承認欲求を満たすことよりも、自分で選んで行動することのほうが大事だからです。また、ただ頼りにされて、依存させるのはたやすいですが、それでは私の承認欲求が満たされて自尊心が高まるだけで、相手の力にはならないからです。

 

共依存といって、支援者が相手のためにと思ってしていることが、ただ依存させているだけで本当は支援者が信頼を得たという自己満足を覚えて、依存されている状態に自分が依存してしまうという現象があります。例えば親がなんでもしてあげて「この子は何もできない」と子供に言い聞かせて親離れしないようにしているようなものです。少しややこしいですが、本当に良く目にする光景ですし、福祉の仕事を始めて何年かは私もそうやって自己満足していた一人です。

 

福祉の仕事をしている人の中には「○○さんが私になついてくれている。」とか「○○さんは別の職員になついてる」と言って、全く悪気なく共依存の状態を作って仕事をしている方もいますが、それはそれで利用者さんの安心感につながっている場合もあります。度が過ぎると「かわいさ余って憎さ100倍」状態になったり、利用者さん同士、職員同士がやきもち合戦を繰り広げたりという問題も起こします。

 

また、叱るのがいけないというのは、叱られる恐怖で支配するのも、叱られることをして興味を引くという行動をさせてしまうのも、本人の成長にはつながらないからです。褒められないなら別の方法で承認してもらうために、悪いことをしたり失敗を続けてしまうということも出てきてしまいます。

 

そういう経験から、自立を促すための支援には、自分に寄りかかってもらって満足するのではいけない。ほめるとか何でも手伝って依存させるのではなく、自分で考えて選び取ってもらうように支えるというスタンスに変わっていきました。

 

しかし、今回の高齢者の方に関しては、それが当てはまらなかったと思いました。高齢者の方は、年下の上司からミスを指摘された時に怒りと悲しみを覚えてそれを様々な方向に跳ね返してきます。今回で言えば、現場の年下のリーダーから注意されたことに対して、リーダーに反発を覚えるとともに、同じ業務を行う他の職員が○○したからこうなった!など方向をすり替えてなんとか自分を守ろうとしてしまうのです。それから、「私はこんなにやっているのに。」「リーダーに気に入られるためにこんなこともしたんですよ!」という言葉も何度も聞きました。褒められて頼りにされないとやってられないのです。

 

私は本人からどういう状況で何が問題だったのか時間をかけて聞き出し、リーダーはあなた一人だけでなく全員に注意喚起しているのだということや、他の人もミスがあれば注意を受けていることを伝え、グループホームなのだから、リーダーの方を向いて仕事をするのではなく、入居者さんが安心して暮らしてもらえるように入居者さんに目を向けましょうと言っても、やれ「リーダーの言い方が冷たかった」とか、「忙しく働くスタッフに感謝がない」等々最終的には「私が悪いんじゃない、リーダーや他の職員が悪い」の一点張りになってしまうのです。

 

これでは、利用者さんの支援をしているのか、パートさんの支援をしているのか何がなんだかわからなくなります。どうしたら分かってもらえたのか振り返ってみると、高齢期で体力も判断力も衰えていく最中で、多くの不安と悲しみを抱えている状態なのに、私がしていたのは成長して前進するための関わり方だったのが違和感の原因で、何もかも分かっていて謝れない相手への逃げ道をふさいで、正しいと思うことをふりかざしていただけでした。

 

上司や責任者としては、従業員に成長してよりよく働いてほしいと願うのは当たり前のことなのですが、相手が高齢者の場合は関わり方に別の一工夫が必要なのです。定年退職などで永年働いた仕事を一度離れて、ある意味一番上から一番新人になるのですから、まだまだ働ける!と意気込んで入った職場でミスしたり注意された時のショックは現役時代のそれとはけた違いに大きくて、自分への失望感が大きいのです。

 

もちろん高齢者がみんなそうなる訳ではありませんが、高齢者の場合は成長を促すよりも、低くなりがちな自尊心をなんとか維持してもらう働きかけの方が大切だと思います。具体的にいうと、例えば当たり前の通常業務をしているだけであっても「お料理の手際が良いです。さすがですね!」とか、「いつもお掃除キレイにしてくれてありがとうございます。」とか、ちょっとした「いつもあなたの仕事ぶりを見てますよ!頼りにしてますよ!」というメッセージを送ることが大切だと思います。これくらいのことを褒めたら逆に失礼じゃない?と思うようなことでも、その些細な声掛けで働く意欲ややりがいが出るのなら私はそれもありだと思うのです。

 

現役時代に当たり前にできたことが少しずつできなくなっていくからこそ、嘘ではなくて本当に「良い」と思った時にまめに言葉にして感謝を伝えることを心がけてみようと思います。そして、ミスを指摘する時はこちらが言い訳を受け止める余裕を持つことです。なんだかんだと言い訳をしたり人のせいにしてしていきますが、それは心を守るために仕方のない行動で、本当は反省しているし、今後は気を付けようという気持ちもあります。一番自分にがっかりしているのは本人なので、言い返された時には追及せずにその場を離れて頭を冷やしてもらうのが良いと思います。経験豊富で一枚上手な高齢者を追求したところで、体力が消耗するし話がこじれていくだけです。

 

自分も年を重ねていつかはこうなります。他人の考え方は変えられないから、自分が変わるしかありません。躍起になって高齢者を理屈で納得させようとするのは大変だし無理なので、老いについてもっと勉強して高齢者が活躍できる職場環境を作っていきたいと思います。